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ナノ界面での分子の動きを高速/高分解能で可視化する 局在プラズモンシートによる細胞接着ナノ界面の
超解像度ライブセルイメージング

RESEARCH RESULTS

課題1:高解像度高速ライブイメージング用局在プラズモンシートの作製 (2019-2021)

課題1では、DNAブラシを鋳型にして金ナノロッドを基板上に安定で高密度に自己組織化させる手法を開発しました。さらに辺長が30nm以下の三角形銀ナノプリズム合成し、二段階化学修飾によってcmの大面積に自己組織化させることに成功しました。電磁気計算の結果、これらの粒子膜を金属薄膜上に配置することで、共鳴ピークが著しく先鋭化し、さらなる発光増強効果が期待されることが明らかになりました。

課題2:細胞接着ナノ界面の構築と界面における分子ダイナミクスの直接イメージング (2019-2022)

課題2では、Venus-Paxillin-3T3生細胞の高速ライブセルイメージングにおいて、接着斑蛋白質パキシリンのクラスター形成過程をナノの解像度(65nm/pixel)で実時間観察することに成功しました。ここでは微粒子シートのメタ表面の光学効果によって、極めて高い軸方向の解像度(~20nm)に加えて、面内方向においても回折限界に迫る高い面内解像度が得られました。さらにプラズモン-励起子結合の効果で光退色が大きく抑制されることがわかりました。この成果は、2020年10月21日にアメリカ化学会誌ACS Applied Nano Materialsにて公開されるとともに、日本経済新聞にて次世代技術NextTech 2030として紹介されました。また海外のメディアにも注目され(13 社にて報道)、Altmetric Score 100 (Top 5%注目論文)を獲得しました。
九州大学広報ページ
https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/514

さらに課題2では、プラズモンメタ表面を用いて、細胞の接着初期を実時間観察した結果、細胞体から放射状に伸びる繊維状の突起構造が、細胞を表面に「仮留め」するように現れ、そこを起点として成熟した接着斑が形成される興味深い現象を見つけるに至りました。この現象は細胞接着性の低い基板上でのみ観察され、すなわち細胞が接着のごく初期段階で、足場となる人工物の表面の特性を捉えていた証拠になります。この成果は、2021年11月29日にWiley Online Library: Advanced NanoBiomed Research(Open access)にて公開されました。
九州大学広報ページ
https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/705/

その他国際共同研究

本事業では、シンガポール国立大学ならびに台湾師範大学との国際共同研究を実施しています。これまでにペロブスカイトナノ結晶の合成と光デバイス応用に関して、当初の期待を超える成果が輩出されています。
その一つが、電気的に切り替え可能な発光メモリデバイスに関する研究です。
ペロブスカイト材料における電界誘起イオン移動現象は、光電変換素子の電気光学特性や最終性能に大きく影響し、一般に劣化を招く有害なものとして扱われています。本研究では、この現象を巧みに利用して、抵抗変化メモリ(RRAM)と発光電気化学セル(LEC)を同時搭載した、高速スイッチング可能な全無機CsPbBr3ペロブスカイト量子ドットデバイスを開発しました。ペロブスカイトナノ結晶の研究は、バイオイメージング応用を念頭に開始したものですが、その過程で、光電素子として有望なアイデアを創出するに至りました。この成果は、2021年7月23 日(金)(日本時間)に 「Nature Communications」にて公開されるとともに、台湾メデイアに大きく取り上げられました。
九州大学広報ページ
https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/639

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